最近、今年の2月に『教育機会確保法』という法律が施行されたことを知りました。この法律が制定された意味って結構大きいと思うんですよね。なんたって、国が不登校の存在を認めたという事になりますから。不登校のお子さんたちを取り巻く日本の状況が今後変わりうる一つのターニングポイントだったりするかもしれません。今回はこの法律について、簡単に述べてもの申していきます。
教育機会確保法とはなにか?簡単に。
簡単に言えば、国や地方自治体に、不登校のこどもたちにも『学校以外の場所でも』十分な教育が行き届くように施策や財源確保をすることを義務化した、という法律です。
まだ、施行されて間もないので、施策・財源確保の具体的な内容については決まりがなく、今後実体化していくことが予想されます。
この法律が制定された意味とは?
現在、小学生の約0.4%、中学生では約2.7%が不登校である。平成3年から10年ごろまでに倍増して以降はずっと横ばいの状態
~文部科学省平成27年度学校基本調査より~
http://http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/_icsFiles/afieldfile/2016/01/18/1365622_1_1.pdf
中学生でいえば40人に1人くらいが不登校の状態、つまりだいたい1クラスに1人、少なくとも2クラス見渡せば1人はまず不登校という状態と言えますよね…。これはかなりの数字です。基本調査を見てみると、平成10年くらいからはほぼ状態が固定化しているという状況もかなり深刻と思われます。政府としても『不登校を減らす対策』は行いつつも『存在している不登校児に対する対策』も同時並行で行わなければならないという現状の中で、今回の法律が生まれてきたんでしょうね。
当初法案には、不登校児の居場所となるフリースクールや自宅での学習といった学校以外の学習も義務教育として認めることが盛り込まれていたが、その後国会の審議の中で削られた。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/263477.html
このサイトを見てみると、国会でも『まずは学校』『学校には戻るべき、戻すのが正常』という意見もまだまだあるのだという気持ちにもなりますが、それでもこの法律は、しっかり世に施行されました。前述のように、この法律には、不登校の児が色々な道筋で学習している実態を踏まえて、それを国・地方自治体が支援していく責務があることが明記されています。
不登校の児は、学ぶ気力や体力がある場合はおそらく、自宅で家族が勉強を教えたり、家庭教師を付けてみたり、フリースクールに入学したり、、などといった学習の形をとっていると考えられますが、それを国が支援する方向に舵を切り始めているということだと思います。
いままでは、基本的には『学校に復帰しましょう』というスタンスであった政策が、やはりどーしても学校に復帰できない児が存在していることを認める=学校に行くことが100%正解ではないと認める方向に動いたということです。
実際不登校のお子さんはもちろんのこと、そのお子さんを育てている親御さんにもこの法律が施行されたことは、一つの喜びを持って迎えられるのではないでしょうか。
こどもにとっては、『学校に行かない=悪い事ではないんだ』
親にとっても『学校に行かせられなくてもいいんだ、学校に行かない道筋で生きていく生き方もいいんだ』
まだ具体的な、末端まで行き届くような変化はなくても、『国が認めた』これは大きな意味を持つでしょう。
でもですね、まだまだ知名度が低いです。この法律。少なくともうちの病院のDr.(精神科専門はいませんが)たちは、ほとんどこの法律のこと知らなかったですよ~
この法律で今後の不登校が変わる?大事なことは何か
上にも記載しましたが、この法律は国や地方自治体に義務を課すだけのものなので、今後この法律の成果が我々の目の前に現れてくるのは、もっと先のことでしょう。つまりすぐには不登校の児への対応は変わらないと思います。
この法律が施行されている!というアピールがもっと色んな所で行われるというのが大事なことでしょうね。
~まとめ~
・教育機会保護法が施行されています
・これは、不登校児を学校に復帰させる政策とは別で、不登校児が学校に戻らず学習を続けていく道を模索し組み立てていくのを支援する法律です
・法律の成果が発揮されるのはまだ先の話だが、期待したいです