こんにちは、Dr.アシュアです。
今回は2020/10/5から週刊スピリッツで連載されているマンガ「プラタナスの実」の第44話を、現役小児科医が考察・解説してみたいと思います。
「プラタナスの実」はドラマ化もされ人気を博した「テセウスの船」の原作者、東元俊哉先生の新連載の漫画で、小児科医療をテーマとして描かれている漫画です。
漫画の情報については公式HPをご覧ください。
原作者の東元先生にも企画についてご許可頂いておりまして「プラタナスの実 考察・解説ブログ~非公式だけど公認~」ということで、がんばって考察・解説していきます。
第1~4集も発売され好評のようです!
前回のお話では、チャイルド・ライフ・スペシャリストの青葉さんは、センター長・吾郎先生や、小児科医・真心先生に助けられながらも、なんとかネフローゼ症候群の蓮君のママの説得に成功することができました。蓮君、これでようやく院内学級に行くことができそうです。
そして、CLS青葉さん、結婚して千葉に行くのか、このまま今の病院に残るのか心に決めたようですね。結論はいかに…!
それでは、見ていきましょう。
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第44話のあらすじとDr.アシュア的に気になったことについて
蓮くんは念願の院内学級で勉強できて、とてもうれしそう。笑顔で過ごす蓮君を見て、お母さんの顔も自然とほころびます。CLS青葉さんも、そんなお母さんを見て「患者さんの笑顔を見るのは私も一番幸せです。」と語ります。
場面は病院の屋上、センター長吾郎先生とCLS青葉さんが話をしています。どうやらCLS青葉さんは、結婚を諦め病院に残ることを決意した様子です。
「結婚は諦めます。やっぱり私…ここにいたいんです。」と青葉さん。
「…本当に…それでいいの?」と吾郎先生。吾郎先生の気持ちは少し複雑なようです。
CLS青葉さんは、自宅で婚約をした琢磨さんに自身の決意を伝えます。琢磨さんは青葉さんの決断に理解を示しつつも、それでも自分は千葉に行くと話します。
そして琢磨さんが北海道を離れる日がやってきました。
駅のホームで琢磨さんを見送る青葉さん。ふと、自分の両親が結婚を望んでいたこと…、琢磨さんがプロポーズしてくれたことを思い出してしまいます。
もし結婚を決意していたら…琢磨との間には子供ができて、幸せな家庭が築けたかもしれない…。
そんな想像が走馬灯のように青葉さんの脳裏に浮かびます。
「幸せになれよ。」
笑顔で別れようとする琢磨さん。・・・電車の扉は閉まり、進み始めます。
「ごめん!ごめんね!」「ごめん琢磨ぁ!」
泣きながら叫ぶ青葉さんは、一人ホームに残されるのでした。
ホームから駅の構内に青葉さんが戻ってくると…なんとそこには、病院の仲間たちが待ち構えていました。
「青葉さん、良かったら一緒に飲みに行きませんか?今回はお店取りましたよ。」
真心先生が笑顔で話しかけるのでした。
東元俊哉「プラタナスの実~小児科医療チャンネル~」第44話より
予想通りというか、CLS青葉さん「仕事」を選びましたね。。。
う~ん、個人的には仕事も結婚も選ぶような”第3の選択肢”に至って欲しかったなぁ。。。
私の友人のDr.にも、結婚した後何年も別居しながら、最終的には一緒に暮らし始めて、お子さんも授かって幸せにしている夫婦もいますし、別に夫婦だから一緒に住まなきゃいけないってこともないと思うんですけどねぇ。
昨今は働き方だって色々な形が生まれて、昔からある終身雇用も形骸化し変わってきているわけで、結婚だって色々な形、”その夫婦の結婚のカタチ”があっていいと思います。
青葉さんと琢磨さんは、お互いに不満があったわけでもないし、そもそも婚約をするところまで行くくらい前向きに結婚に向かって話が進んでいたわけだから…やっぱり残念です。
青葉さんが仕事を選んだとしても、そこで琢磨さんが「はいそうですか、でも僕は千葉に行きますね。僕らの関係もいったん解消ですかね。」みたいな形にス~っと流れていくのは、、、う~ん…もやもやするなぁ(笑)
もう、琢磨さんに「結婚はしておこう」ということが言えるくらいの度量がなかった!ということにしておきますか(笑)
青葉さんには、もっと素敵な男性が現れるのでしょう、そうなのでしょう。そう信じましょう。
今回のお話は、青葉さんのストーリーの切れ目ということで一話のみで解説としています。
最後のところで、センター長吾郎先生と小児外科医英樹先生が話す場面がありまして、今後は鈴懸家の過去についてストーリーが移っていくようですね。
今回は、今まで鈴懸家の過去について今までで分かっていることについてまとめておこうと思います。
”鈴懸家の過去”についてまとめてみた
小児外科医・吾郎先生と、小児科医の母の間に生まれた、兄・英樹と弟・真心の2人の兄弟。
「2人は両親の仕事が忙しく、寂しい幼少期を送った」というくだりがありましたが、それでも両親が離婚するまでは、家族4人それなりに幸せに暮らしていたようです。
どうやら父・吾郎先生が大病院の院長になった頃から、家族にだんだんとひずみが生じてきたよう。
父・吾郎先生は次第に経営優先の医療を推し進めるようになり、採算が取れない科の医師を解雇するなど、かなり過激な経営戦略を進めていました。普段から相当なストレスを抱えながら働いていたのでしょう、父・吾郎先生は家庭でも子供たちのテストの点数を見るなりいきなり叱責するようになっていきます。
そして、吾郎先生の経営する大病院には、母が科長として勤務する小児科がありました。母の働き方のマインドは吾郎先生とは逆で、子どもたちの未来を中心に考えた小児医療でした。多忙を極めつつも誇りを持ち働く母の姿は、子供たち(英樹・真心)にもまぶしく映っていたようです。
しかしその小児科は赤字のため病院の経営上、問題になってしまいます。最終的には、吾郎先生自身の手で、母親の小児科を潰すことになってしまうのでした。
真心先生の母が、涙ながらに父・吾郎先生に”小児科を存続してほしい”と訴える場面もありました。
そして、”母の小児科の解体”をきっかけに兄弟の両親は離婚することになります。
兄・英樹は父・吾郎先生に引き取られ、弟・真心は母に引き取られ、家族はバラバラに暮らすことに。
そしてその後、母が骨髄性白血病に倒れてしまいます。
闘病のさなかも母は気丈にふるまい、お見舞いにきた兄・英樹(当時医学生)に”医師としての道”を示すなど、子供たち2人にとってはなくてはならない存在だったようです。
しかし、その最愛の母も闘病の末に亡くなってしまいます。
今までのお話では、母が亡くなる前後に父・吾郎先生の様々な問題行動があったと示唆する言動が兄・英樹先生、弟・真心先生の発言の随所に見られます。父・吾郎の”深い後悔”や、兄弟が父に抱く”確執”はこの辺りに理由がありそうです。
…ここまでが今までのお話で分かっている所です。辛い・・・。
これから鈴懸家の確執が詳しく描かれ、真心先生や英樹先生が医師を志すことになった理由や、現在の英樹先生の性格がいい感じにひねくれてしまったその理由が明らかになってくるのだろうと思います。
最後に
今回は、チャイルド・ライフ・スペシャリストの青葉さんのお話が一区切りつきましたね。青葉さんが病院に残ったのは嬉しいですが、彼女の結婚話は無くなり彼氏との関係も終わりを迎えました。
青葉さんは素敵な女性ですから、もっと素敵な男性が現れるのではないでしょうか。今後のお話の中で、その辺りも描かれたらいいんですけども…。
今後は「鈴懸家の過去編」という感じでストーリーが展開していきそうですね。
今回は以上となります。
追記
プラタナスの実 1巻・2巻・3巻・4巻が発売になりました。小児科医療のリアルな現場を切り取った漫画だと思います。
色々な方が手に取って頂けたら嬉しいです。